○兵庫教育大学における人を対象とする研究に関する倫理規程
平成19年2月9日
規程第3号
(目的)
第1条 この規程は,ヘルシンキ宣言及び人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(令和3年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号。以下「指針」という。)の趣旨を踏まえ,兵庫教育大学(以下「本学」という。)における人を対象とする研究(人(試料・情報を含む。)を対象として,個人の心身,行為,環境等に関する情報及びデータ等を収集又は採取して行う研究をいう。以下「研究」という。)に関し遵守されるべき基本的な事項を定め,もって研究の適正な実施を図ることを目的とする。
2 研究の計画及び実施については,法令及び指針に定めるもののほか,この規程の定めるところによる。
(1) 研究対象者 次に掲げるいずれかに該当する者(死者を含む。)をいう。
ア 研究を実施される者(研究を実施されることを求められた者を含む。)
イ 研究に用いられることとなる既存試料・情報を取得された者
(2) 研究対象者等 研究対象者及び代諾者等をいう。
(3) 研究者等 研究責任者その他の研究の実施に携わる者をいう。
(4) 研究責任者 研究の実施に携わるとともに,本学において当該研究に係る業務を統括する者をいう。学生及び本学が受け入れた研究員が研究を行う場合には,指導教員又は受入教員をいう。
(5) インフォームド・コンセント 研究対象者等が,実施又は継続されようとする研究に関して,当該研究の目的及び意義並びに方法,研究対象者に生じる負担,予測される結果(リスク及び利益を含む。)等について十分な説明を受け,それらを理解した上で自由意思に基づいて研究者等又は既存試料・情報の提供のみを行う者に対し与える,当該研究(試料・情報の取扱いを含む。)を実施又は継続されることに関する同意をいう。
(6) 委員会 第6条に規定する兵庫教育大学人を対象とする研究に関する倫理審査委員会をいう。
(7) 代諾者等 生存する研究対象者の意思及び利益を代弁できると考えられる者であって,当該研究対象者がインフォームド・コンセントを与える能力を欠くと客観的に判断される場合に,当該研究対象者の代わりに,研究者等に対してインフォームド・コンセントを与えることができる者及び研究対象者が死者である場合にインフォームド・コンセントを与えることができる者をいう。
(8) 試料・情報 人体から取得された試料及び研究に用いられる情報をいう。
(9) 既存試料・情報 試料・情報のうち,次に掲げるいずれかに該当するものをいう。
ア 研究計画が作成されるまでに既に存在する試料・情報
イ 研究計画の作成以降に取得された試料・情報であって,取得の時点においては当該研究計画の研究に用いられることを目的としていなかったもの
(10) 有害事象 実施された研究との因果関係の有無を問わず,研究対象者に生じた全ての好ましくない又は意図しない傷病若しくはその徴候(臨床検査値の異常を含む。)をいう。
(学長の責務)
第3条 学長は,研究責任者から研究の実施の許可を求められたときは,委員会の意見を尊重しつつ,当該研究の実施の許可又は不許可その他研究に関し必要な措置について決定しなければならない。
2 学長は,当該研究が適正に実施されていることを必要に応じて確認するとともに,研究の適正な実施を確保するために必要な措置をとらなければならない。
(研究責任者の責務)
第4条 研究責任者は,研究を実施し,又は研究計画の内容と異なる研究を実施しようとするときは,あらかじめ研究計画を作成又は変更し,研究の実施の適否等について委員会の意見を聴かなければならない。
2 研究責任者は,研究計画の作成又は変更に当たっては,研究の倫理的妥当性及び科学的合理性が確保されるよう考慮しなければならない。また,研究対象者への負担並びに予測されるリスク及び利益を総合的に評価するとともに,負担及びリスクを最小化する対策を講じなければならない。
3 研究責任者は,委員会に意見を聴いた後に,その結果及び委員会に提出した書類その他学長が求める書類を学長に提出し,当該研究の実施について許可を受けなければならない。
4 研究責任者は,研究計画に従って研究が適正に実施され,その結果の信頼性が確保されるよう,当該研究の実施に携わる研究者をはじめとする関係者を指導・管理しなければならない。
5 研究責任者は,研究の実施に係る必要な情報を収集する等,研究の適正な実施及び研究結果の信頼性の確保に努めなければならない。
8 研究責任者は,研究の実施において,当該研究により期待される利益よりも予測されるリスクが高いと判断される場合又は当該研究により十分な成果が得られた若しくは十分な成果が得られないと判断される場合には,当該研究を中止しなければならない。
9 研究責任者は,研究計画に定めるところにより,研究の進捗状況及び研究の実施に伴う有害事象の発生状況を委員会及び学長に報告しなければならない。
(研究者等の責務)
第5条 研究者等は,研究対象者の生命,健康及び人権を尊重して,研究を実施しなければならない。
2 研究者等は,法令,指針等を遵守し,当該研究の実施について委員会の審査及び学長の許可を受けた研究計画に従って,適正に研究を実施しなければならない。
3 研究者等は,研究を実施するに当たっては,指針の手順に基づき,又は準じて,原則としてあらかじめインフォームド・コンセントを受けなければならない。
4 研究者等は,研究対象者等及びその関係者からの相談,問合せ,苦情等に適切かつ迅速に対応しなければならない。
5 研究者等は,研究の過程で収集した個人情報の保護に努め,法令,学内規程等に基づき適正に取り扱わなければならない。
6 研究者等は,研究の実施に携わる上で知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない。研究の実施に携わらなくなった後も同様とする。
7 研究者等は,研究の倫理的妥当性又は科学的合理性を損なう又はそのおそれがある事実を知り,又は情報を得た場合(次項に該当する場合を除く。)には,速やかに研究責任者に報告しなければならない。
8 研究者等は,研究の実施の適正性又は研究結果の信頼を損なう又はそのおそれがある事実を知り,又は情報を得た場合には,速やかに研究責任者又は学長に報告しなければならない。
9 研究者等は,研究に関連する情報の漏えい等,研究対象者等の人権を尊重する観点又は研究の実施上の観点から重大な懸念が生じた場合には,速やかに学長及び研究責任者に報告しなければならない。
(委員会)
第6条 研究の実施又は継続の適否その他研究に関し必要な事項について,倫理的及び科学的な観点から調査審議するため,本学に兵庫教育大学人を対象とする研究に関する倫理審査委員会を置く。
(構成)
第7条 委員会は,次の各号に掲げる委員をもって組織する。
(1) 副学長のうち学長が指名した者 1人
(2) 保健管理センター所長
ア 人間発達教育専攻又は特別支援教育専攻に所属する教授,准教授,講師又は助教 2人
イ 教育実践高度化専攻に所属する教授,准教授,講師又は助教 2人
(4) 学外の学識経験者のうちから学長が委嘱した者 若干人
(5) その他学長が必要と認めた者 若干人
2 委員会は男女両性で構成されなければならない。
4 前項の規定による委員は,再任されることができる。
2 委員長は,委員会を招集し,議長となる。
3 副委員長は,委員長を補佐し,委員長に事故があるとき,又は委員長が第12条第5項に該当することとなる場合は,委員長の職務を代行する。
(所掌事項)
第9条 委員会は,次の各号に掲げる事項を所掌する。
(1) 研究計画の科学的合理性及び倫理的妥当性の審査に関すること。
(2) その他研究上の倫理に関すること。
(議事)
第10条 委員会は,委員の3分の2以上の出席がなければ議事を開き,議決することができない。
2 委員会の議事は,原則として全会一致をもって決定するよう務めなければならないものとし,審議を尽くしても意見がとりまとまらない場合に限り,出席委員の3分の2以上をもって決する。
(委員以外の者の出席)
第11条 委員会は,必要があると認めるときは,委員以外の者の出席を求め,意見を聴くことができる。
(審査手続等)
第12条 研究責任者は,研究を開始しようとする日の2月前までに,別に定める研究計画審査申請書(以下「申請書」という。)を委員会に提出しなければならない。
2 委員会は,前項の申請書を受理したときは,この規程,法令及び指針等に基づき,倫理的観点及び科学的観点から,研究の実施の適否等について審査し,判定を行うものとする。
3 審査の判定は,次の区分によるものとする。
(1) 承認
(2) 条件付承認
(3) 不承認
(4) 非該当
4 委員会は,必要に応じ研究責任者の出席を求め,当該研究について説明を受け又は意見を聴取することができる。
5 委員が当該研究に関係する者である場合は,当該研究に関する議事に加わることができない。
6 委員会は,別に定める審査結果通知書により,研究責任者に審査結果を通知するものとする。
(再審査)
第13条 研究責任者は,審査の結果に異議あるときは,委員会に対し,別に定める異議申立書により再審査を求めることができる。ただし,同一の申請につき1回に限るものとする。
(研究計画の変更)
第14条 研究責任者は,研究計画を変更しようとするときは,別に定める研究計画変更申請書を委員会に提出しなければならない。
(迅速審査)
第15条 委員会は,次の各号に掲げるいずれかに該当する審査について,委員会が指名する委員による審査(以下「迅速審査」という。)を行うことができる。この場合において,迅速審査の結果は,委員会の意見として取り扱うものとし,委員長は当該審査結果をすべての委員に報告しなければならない。
(1) 多機関共同研究であって,既に当該研究の全体について他の倫理審査委員会の審査を受け,その実施について適当である旨の意見を得ている場合の審査
(2) 研究計画の軽微な変更に関する審査
(3) 侵襲を伴わない研究であって介入を伴わないものに関する審査
(4) 軽微な侵襲を伴う研究であって介入を伴わないものに関する審査
(他機関への一括審査依頼)
第16条 研究責任者は,他の研究機関と共同して実施する研究について,本学以外に設置された一つの倫理審査委員会による一括した審査を希望する場合は,関係する研究機関と事前に調整を行った上で,審査を依頼することができる。
2 研究責任者は,前項に規定する倫理審査委員会による審査終了後は,その結果及び審査過程の分かる記録等を学長に提出し,当該研究の実施について許可を受けなければならない。
(研究終了後の報告)
第17条 研究責任者は,研究を終了し,又は中止したときは,その旨及び研究結果の概要を別に定める研究終了(中止)報告書により遅滞なく委員会及び学長に報告しなければならない。
(事務)
第18条 委員会に関する事務は,教育研究支援部研究推進課が処理する。
(雑則)
第19条 この規程に定めるもののほか,研究上の倫理について必要な事項は,委員会の議を経て学長が別に定める。
附則
1 この規程は,平成19年4月1日から施行し,同日以後に開始される研究から適用する。
附則(平成23年3月14日)
1 この規程は,平成23年4月1日から施行する。
2 この規程施行後第4条第1項第3号の規定に基づき最初に指名された委員の任期は,同条第3項の規定にかかわらず学長が定める。
附則(平成27年9月1日)
この規程は,平成27年9月1日から施行する。
附則(平成28年1月13日)
この規程は,平成28年4月1日から施行する。
附則(平成29年6月30日)
この規程は、平成29年7月1日から施行する。
附則(平成30年3月14日)
この規程は,平成30年3月14日から施行し,同日以後に申請書を受理した研究から適用する。
附則(平成31年2月12日)
1 この規程は,平成31年4月1日から施行する。
2 この規程施行の際,現に改正前の第4条第1項第3号の規定に基づき教育実践高度化専攻から推薦された委員である者は,改正後の第4条第1項第3号の規定に基づき同専攻から推薦された委員であるとみなし,その任期は,同条第3項の規定にかかわらず残任期間と同一の期間とする。
附則(令和2年3月11日)
この規程は,令和2年4月1日から施行する。
附則(令和3年6月9日)
1 この規程は,令和3年6月30日から施行する。
2 この規程の施行日の前日までに申請書を受理した研究については,なお従前の例による。
附則(令和4年6月8日)
この規程は,令和4年6月8日から施行する。