○国立大学法人兵庫教育大学における研究活動の不正行為への対応等に関する規程
平成27年3月11日
規程第1号
(趣旨)
第1条 この規程は,国立大学法人兵庫教育大学(以下「本学」という。)の公正な研究遂行のための基本方針及び研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(平成26年8月26日文部科学大臣決定)(以下「ガイドライン」という。)に基づき,本学における研究者の研究活動の不正行為(以下「不正行為」という。)の防止及び不正行為が行われ又はその恐れがある場合に,厳正かつ適切に対応するために必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この規程において「研究者」とは,公的研究費により研究活動を行っている役員,教職員及び学生その他本学の施設や設備を利用して研究に携わる者をいう。
2 この規程において「不正行為」とは,次の各号に掲げる行為をいう。
(1) 故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによる,投稿論文等の研究成果における以下の行為
ア 捏造 存在しないデータ,研究結果等を作成すること。
イ 改ざん 研究資料・機器・過程を変更する操作を行い,データ,研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工すること。
ウ 盗用 他の研究者のアイディア,分析・解析方法,データ,研究結果,論文又は用語を当該研究者の了解若しくは適切な表示なく流用すること。
(2) 前号以外の研究活動上の不適切な行為であって,科学者の行動規範及び社会通念に照らして研究者倫理からの逸脱が甚だしい以下の行為
ア 二重投稿 他の学術誌等に既発表又は投稿中の論文と本質的に同じ論文を投稿すること。
イ 不適切なオーサーシップ 実際に研究に貢献のなかった者を論文著者として記載することや論文著者としての資格が有る者を公表しないこと。
(最高管理責任者)
第3条 本学における不正行為の防止及び不正行為への対応に関し,最終責任を負う者(以下「最高管理責任者」という。)を置き,学長をもって充てる。
(統括管理責任者)
第4条 最高管理責任者を補佐し,本学における不正行為の防止及び不正行為への対応に関し,本学全体を統括する実質的な責任と権限を持つ者(以下「統括管理責任者」という。)を置き,学長が指名する理事をもって充てる。
2 統括管理責任者は,基本方針に基づき,当該年度の実施計画を策定し,その実施を研究倫理教育責任者に指示するとともに,実施状況を確認し,定期的に最高管理責任者に報告しなければならない。
3 統括管理責任者は,不正行為が起きた場合は,厳正かつ適切に対応しなければならない。
(研究倫理教育責任者)
第5条 統括管理責任者の指示の下,不正行為を事前に防止し,公正な研究活動を推進する実質的な責任と権限を持つ者(以下「研究倫理教育責任者」という。)を置き,学長が指名する理事又は副学長をもって充てる。
2 研究倫理教育責任者は,研究倫理教育を実施し,受講者の受講状況及び理解度について把握するとともに,実施状況を統括管理責任者に報告しなければならない。
(監督者の責務)
第6条 研究者を監督する地位にある者(以下「監督者」という。)は,研究倫理教育責任者の指示の下,監督する研究者に対し,不正行為を防止するために必要な指導等を行うものとする。また,若手研究者等が自立した研究活動を遂行できるよう適切な支援・助言等を行うものとする。
(研究者の責務)
第7条 研究者は,この規程及び関係法令等を遵守するとともに,監督者の指導等に従い,公正な研究活動を遂行しなければならない。
2 研究者は,不正行為を行ってはならず,また,他者による不正行為の防止に努めなければならない。
3 研究者は,研究倫理教育を受けなければならない。また,自ら研究者倫理の向上に努めなければならない。
4 研究者は,共同研究を実施するにあたり,共同研究における個々の研究者間の研究目的や内容,業務,役割分担,責任等を明確にし,相互が理解したうえで共同研究を適切に行わなければならない。
(研究データの保存・開示)
第8条 論文等の形で発表された研究成果のもととなった実験データ等の研究資料は,当該論文等の発表から原則10年間,試料や標本などの有体物については原則5年間保存し,必要な場合は,これを開示しなければならない。
(不正行為への対応)
第9条 統括管理責任者は,不正行為に関する告発の受付から調査(不服申し立ての再調査を含む。)に至るまでの業務を掌理する。
(受付窓口)
第10条 本学における不正行為に関する告発(外部の者によるものを含む。以下同じ。)及び告発の意思を明示しない相談並びにこの規程にかかわる照会等を受ける窓口(以下「受付窓口」という。)を教育研究支援部研究推進課に設置するものとする。
(告発受付体制の周知)
第11条 統括管理責任者任者は,受付窓口の名称,場所,連絡先,受付の方法その他必要な事項について学内及び本学以外の機関(以下「他機関」という。)に周知しなければならない。
(告発の方法及び取扱い)
第12条 告発は,別紙様式1の書面(ファックス,電子メールを含む。)を受付窓口に提出若しくは送付し,又は電話若しくは面談により行うものとする。
2 告発は,原則として実名によるものとし,次の各号に掲げる事項を明示しなければならない。
(1) 不正行為を行ったとする研究者の氏名又はグループ等の名称
(2) 不正行為の態様(具体的な内容や年度等を含む)
(3) 不正行為とする科学的な合理性のある理由
3 前項の規定にかかわらず,匿名による告発があった場合は,実名の告発があった場合に準じて取り扱うことができるものとする。
4 受付窓口は,告発の内容が本学に該当しない場合は,当該他機関の長に当該告発を回付するものとする。
5 受付窓口は,告発を受け付けたときは,速やかに統括管理責任者に報告するとともに,告発を受け付けた旨を告発者(匿名の告発者を除く。ただし,調査結果が出る前に告発者の氏名が判明した後は実名による告発者として取り扱う。以下同じ。)に通知するものとする。
6 告発の意思を明示しない相談は,書面(ファックス,電子メールを含む。)を受付窓口に提出若しくは送付し,又は電話若しくは面談により行い,その内容を確認・精査し,相当の理由があると認めた場合は,相談者に対して告発の意思があるか否か確認するものとする。ただし,相談内容が本学に該当しない場合,当該他機関の長に回付することができる。
7 統括管理責任者は,不正行為が行われようとしている,又は不正行為を求められているという告発・相談について,その内容を確認・精査し,相当の理由があると認めた場合は,その旨を最高管理責任者に報告するとともに,被告発者に警告を行うものとする。
(悪意に基づく告発の防止)
第13条 悪意(被告発者に何らかの損害を与えることや被告発者が本学に不利益を与えることを目的とする意思。以下同じ。)に基づく告発を防止するため,統括管理責任者は,告発の調査・事実確認の結果,悪意に基づく告発があったことが判明した場合は,氏名の公表や懲戒処分,刑事告発等があり得ることなどを学内及び他機関に周知するものとする。
(調査機関)
第14条 研究者に係る不正行為の告発があった場合は,原則として本学が告発された事案の調査を行う。
2 研究者が他機関と共同で行った研究活動に係る告発があった場合は,本学と他機関とが合同で,告発された事案の調査を行う。
(予備調査)
第15条 統括管理責任者は,第12条第5項の規定による報告を受けたときは,速やかにその旨を最高管理責任者に報告し,不正行為が行われた可能性,告発の科学的な合理性のある理由の論理性,実験データ等の合理的な保存期間など告発内容の合理性,調査可能性等について調査委員会を設置して予備調査を行わなければならない。
2 統括管理責任者は,予備調査の結果,本格的な調査をすべきものと判断した場合は,速やかに最高管理責任者にその旨を報告し,本調査を行わなければならない。ただし,本調査を行うか否か決定するまでの期間は,告発を受け付けた日から30日以内とする。
3 統括管理責任者は,本調査を行わないことを決定した場合は,その旨を最高管理責任者に報告するとともに,理由を付して告発者に通知しなければならない。
(本調査)
第16条 統括管理責任者は,本調査を行うことを決定した場合は,告発者及び被告発者に対し,本調査を行うことを通知し,調査への協力を求めるものとする。また,当該事案に係る資金配分機関及び文部科学省に本調査を行う旨報告しなければならない。
2 本調査が開始されるまでの期間は,本調査の実施を決定した日から30日以内とする。
(調査体制)
第17条 統括管理責任者は,本調査を行うことを決定した場合は調査委員会を設置する。
2 調査委員会委員は,次の各号に掲げる者をもって充てる。
(1) 学長が指名する副学長
(2) 事務局長
(3) 学長が指名する教職員
(4) 学長が指名する外部有識者
3 前項第4号に掲げる委員は,調査委員会委員の半数以上とする。
5 第2項各号の委員のなかに,告発者及び被告発者と直接の利害関係者がいる場合は,委員から除くものとする。
6 調査委員会に委員長を置き,第2項第1号の者をもって充てる。
7 統括管理責任者は,調査委員会を設置したときは,調査委員の氏名や所属を告発者及び被告発者に通知しなければならない。
8 前項の通知を受けた告発者及び被告発者は,当該通知を受けた日から7日以内に異議申立てをすることができる。
9 前項の異議申立てがあった場合,統括管理責任者はその内容を審査し,その内容が妥当であると判断したときは,当該異議申立てに係る調査委員を交代させるとともに,当該調査委員の氏名や所属を告発者及び被告発者に通知しなければならない。
(調査方法)
第18条 本調査は,告発された当該研究に関する論文,調査ノート等のあらゆる当該論文作成に関係する資料の精査,関係者のヒアリング及び再実験の要請などにより行わなければならない。
2 前項の調査に際して,被告発者に対し,弁明の聴取を行うとともに,再実験等を要請する場合,又は被告発者自らの意思によりそれを申し出て調査委員会がその必要性を認める場合は,それに要する期間及び機会(機器,経費等を含む。)を統括管理責任者が合理的に必要と判断した範囲内において与えなければならない。その際,調査委員会の指導・監督の下で行わなければならない。
3 調査委員会の調査に対し,告発者及び被告発者などの関係者は誠実に協力しなければならない。
4 第1項の規定にかかわらず,調査委員会は,調査に関連した被告発者の他の研究を調査の対象とすることができる。
5 統括管理責任者は,調査に当たって,証拠となる資料等を保全する措置をとらなければならない。
6 調査に当たっては,調査対象における公表前のデータ,論文等の研究又は技術上秘密とすべき情報が,調査の遂行上必要な範囲外に漏洩することのないよう十分配慮するものとする。
(認定)
第19条 調査委員会は,本調査を開始した日から150日以内に次の各号に掲げる事項の認定を行い,当該調査の結果をまとめ,統括管理責任者に報告しなければならない。
(1) 不正行為が行われたか否か
(2) 不正行為が行われたと認定した場合は,その内容,不正行為に関与した者とその関与の度合い,不正行為と認定された研究活動に係る論文等の各著者の当該論文等及び当該研究活動における役割
(3) 不正行為が行われていないと認定した場合は,併せて告発が悪意に基づくものであるか否か
2 前項第3号で,告発が悪意に基づくものであると判明した場合は,告発者に弁明の機会を与えなければならない。
3 被告発者は,調査委員会の調査において,告発された当該研究活動に関する疑惑を晴らそうとする場合,研究活動が科学的に適正な方法と手続にのっとって行われたこと,論文等もそれに基づいて適切な表現で書かれたものであることを,科学的根拠を示して説明しなければならない。
4 調査委員会は,前項の説明を受けるとともに,調査によって得られた,物的・科学的証拠,証言,被告発者の自認等の諸証拠を総合的に判断して,不正行為か否かの認定を行わなければならない。なお,被告発者の自認を唯一の証拠として不正行為と認定することはできないものとする。
5 不正行為に関する証拠が提出された場合において,被告発者の説明及びその他の証拠によって,不正行為であるとの疑いが覆されないときは,不正行為と認定されるものとする。ただし,被告発者が善良な管理者の注意義務を履行していたにもかかわれず,その責によらない正当な理由があると調査委員会が認めた場合はこの限りでない。また,本学が定める保存期間を超えることによるものである場合についても同様の扱いとする。
(調査結果の通知)
第20条 統括管理責任者は,調査結果を速やかに最高管理責任者に報告するとともに,告発者及び被告発者(被告発者以外で不正行為に関与したと認定された者を含む。以下同じ。)に通知しなければならない。また,被告発者が他機関に所属する場合は,当該所属機関の長にも通知しなければならない。
2 前項に規定するもののほか,統括管理責任者は,当該事案に係る資金配分機関及び文部科学省に対しても調査結果を報告しなければならない。
3 統括管理責任者は,告発が悪意に基づくものであると認定されたときは,告発者の監督者に通知しなければならない。
(不服申立て)
第21条 不正行為と認定された被告発者は,前条第1項の通知を受け取った日から,30日以内に不服申立てをすることができる。
2 告発が悪意に基づくものと認定された告発者(被告発者の不服申立ての審査の段階で悪意に基づく告発と認定された者を含む。)は,前条第1項の通知を受け取った日から30日以内に不服申立てをすることができる。
4 統括管理責任者は,第1項の不服申立てを受けたときは,その旨を最高管理責任者に報告するとともに,告発者に通知しなければならない。
5 統括管理責任者は,第2項の不服申立てを受けたときは,その旨を最高管理責任者に報告するとともに,告発者の監督者及び被告発者に通知しなければならない。
6 前2項に規定するもののほか,統括管理責任者は,当該事案に係る資金配分機関及び文部科学省に対しても報告しなければならない。
2 調査委員会は,前項の審査において,不服申立ての趣旨,理由等を勘案の上,当該事案の再調査を行うか否かを速やかに決定し,直ちに統括管理責任者に報告しなければならない。
4 調査委員会が再調査を開始した場合は,当該不服申立てを受けた日から50日(前条第2項の不服申立ての場合にあっては30日)以内に,先の調査結果を覆すか否かを統括管理責任者に報告しなければならない。
(1) 不正行為に関与した者(以下「被認定者」という。)の所属及び氏名
(2) 不正行為の内容
(3) 統括管理責任者又は調査委員会が公表時までに行った措置の内容
(4) 調査委員会委員の氏名及び所属
(5) 調査の方法,手順等
(6) その他必要と認める事項
2 最高管理責任者は,不正行為が行われなかったと認定した場合は,原則として調査結果を公表しないものとする。ただし,調査事案が外部に漏えいしていた場合及び論文等に故意によるものでない誤りがあった場合は,そのことを含んだ調査結果を公表するものとする。
3 最高管理責任者は,悪意に基づく告発の認定があった場合は,前2条に定める不服申し立て等の期間を考慮し,告発者の氏名及び所属を公表するものとする。
(認定後の措置)
第24条 学長は,不正行為が行われたと認定した場合は,次の各号に掲げる措置を講ずるものとする。
(1) 被認定者に対して不正行為と認定された研究活動の停止を命ずる業務命令
(2) 就業規則等に基づく懲戒処分等の措置
2 最高管理責任者は,不正行為が行われなかったと認定した場合は,被告発者の研究活動の円滑な再開及び名誉回復のために必要な措置を講ずるものとする。
3 学長は,悪意に基づく告発の認定があった場合は,就業規則等に基づく懲戒処分等の措置を講ずるものとする。
(不利益発生の防止)
第25条 最高管理責任者は,告発(相談を含む)をしたことを理由に,告発者に対し不利益が発生しないよう適切な措置を講ずるものとする。
2 最高管理責任者は,単に告発があったことをもって,当該告発に係る被告発者が研究を行うことを全面的に禁止するなど過度の措置を講じてはならない。
(守秘義務)
第26条 受付窓口及び調査委員会に携わった者は,業務の過程において知ることのできた秘密を漏らしてはならない。
(事務)
第27条 この規程に係る事務は,関係部局等の協力を得て,教育研究支援部研究推進課において処理する。
(雑則)
第28条 この規程に定めるもののほか,不正行為の防止及び不正行為への対応に関し必要な事項については,別に定める。
附則
1 この規程は,平成27年4月1日から施行する。
2 兵庫教育大学における学術研究活動の不正行為に関する取扱規程(平成19年3月14日規程第6号)は,廃止する。
附則(平成29年6月7日)
この規程は,平成29年7月1日から施行する。
附則(平成29年6月30日)
この規程は,平成29年7月1日から施行する。
附則(平成29年10月4日)
この規程は,平成29年10月4日から施行する。
附則(平成31年3月28日)
この規程は,平成31年4月1日から施行する。
附則(令和元年12月11日)
この規程は,令和元年12月11日から施行する。