現在取り組んでいる研究

【現在取り組んでいる研究】                      

●重症心身障害児の注意反応の簡便な測定法を特別支援学校で活用するための実践的研究

平成28年度日本教育公務員弘済会教育文化事業本部奨励金による研究助成

【研究の概要】
 重症児は、その障害のために、身体の動き、表情、声などの表出行動が著しく制限されている。そのため、教師等が何かしらの働きかけを行った場合に、そのことが重症児本人に理解されているのか、知覚されているのかについては判然とせず、教師等の主観的な判断に頼らざるを得ない状況がある。
 そのような重症児を対象に、心拍等の生理反応を利用して注意反応をとらえようとする試みが以前から行われている。注意反応とは、何かしらの刺激に対して注意を向けている心の働きの総称である。特に刺激直後の心拍の減少はその刺激に注意を向けたときの特徴であり、心拍の増加は驚愕を示す特徴と考えられている。しかしこれまで、こうした心拍測定には高価な機材が必要であり、特別支援学校の現場で活用することは困難であった。
 三宅・石倉(2016)は、情報携帯端末(Apple社iPad)と携帯端末用パルスオキシメーター(マシモジャパン社iSpO2)を用いて(このセットを”IPセット”と呼ぶこととする)、重症児の注意反応を測定できる可能性について検討を行ってきた。その結果、4名の重症児を対象にこれらの反応をIPセットでとらえることに成功した。さらに刺激に対する3段階の心拍変化から、期待反応をとらえることのできる児童の特性についても示唆を得ることができた。
 そこで本研究では、こうした情報携帯端末を用いた簡便な測定法を特別支援学校の授業場面において、教師が有効に活用するための方法について検討を行うものである。

●インクルーシブ教育を担う教員養成システム開発についての日蒙共同研究

日本学術振興会 二国間交流事業 共同研究(2015-2016年度) による研究助成

【研究の概要】 
 ①モンゴル国立教育大学(MNUE)生涯発達学部で、特別学教員向けの集中講義を実施する。
 モンゴルにおける特別学校教員の養成は始ったばかりであり、日本人研究者によつ授業や研修の必要性がMNUEと共通理解をされている。そこで、MNUEで知的障害、聴覚障害、自閉症、肢体不自由、早期発見と対応の5科目について集中講義を実施する。
 ②上記の集中講義で使用する教科書の作成と翻訳を行う。
モンゴル国内には、特別学校教員を養成するための系統的な教科書がまだ整備されていない。そこで今回、集中講義の実施にあわせて教科書の作成と翻訳を行い、それをモンゴル側で印刷・出版を行う。併せて、専門用語集のモンゴル語での作成も行う。

●自立活動における「身体の動き」の指導効果に関する研究

 兵庫教育大学「理論と実践の融合」に関する共同研究(平成27-28年度)による研究助成

【研究の概要】
 ①動作法や心理リハビリテイションによる指導が日常生活活動(ADL)に与える効果についての研究
 ②動作法や心理リハビリテイションによる指導が行動障害の改善に与える効果についての研究
 ③身体的不器用についての研究

最近の著書や論文