修論執筆を振り返って
和田 敏江 (2014年4月末)
修士論文タイトル 専門学校1年生における学業成績と心理的要因の関連性
−入学前を含めた8ヶ月間の追跡調査より―

【どうしてこれに着目したのか】

私は、医療系の専門学校で教員をしていますが、学生は医療系の資格を修得したくて入学してくるにもかかわらず、3年間という学校生活を送る中で、さまざまな理由を抱えて、学校を中退あるいは留年といったなかなか容易に資格を修得できない現状があります。最初はそのきっかけとなる「臨床実習」をテーマに、“学生が抱えるストレス”を分析できればと思っていましたが、卒業生に対するインタビューをきっかけに、臨床実習を迎える以前に抱える問題があることに気づかせてもらい、“学業不振”や“リアリティショック”などに注目することにし、それらに関わる心理的要因にどのようなものがあり、どのように関連するのかを検討したいと思うようになりました。

【どんなことに苦労したのか】

「何を明らかにしたいのか」「これが明らかになったら、どういう良いことがあるのか」という、一番研究にとって、柱となる部分を持たないまま、研究をスタートし、研究を進めたため、「今何がしたいのか」「今、自分は何をやっているのか」などが分からないまま、長い時間を過ごしてしまいました。また、必要なキーワードをもとに、色々文献検索もしましたが、その文献を基に、「何が分かったのか」「どこまでが明らかになっていて、何がまだ明らかになっていないのか」の先行研究を要約し、まとめることに苦労しました。
  修論を実際に書き始めると、「問題と目的」の壁にぶつかりました。大量の先行研究の中から、必要な部分を抜き出し、流れを作って問題意識につなげていくことに苦労しましたが、毎週のゼミのレジュメとKJ法がとても役立ちました。また、「総合考察」においては、結果との違いがよくわからず、なかなか書き進めることができませんでした。今思えば、結果と「問題と目的」とのつながりが明確でなかったため、この修論で何が言いたいかをわかっていなかったからだと思います。
  あとは…教員採用試験との両立がすごく大変でした。M2の前期は、色々と必死すぎてとりあえず大変だったという記憶しかありません(笑)

【執筆を終えて自分なりに満足していること】

私は半年留年し、この半年を使って、問題意識と研究の目的を見直し、調査結果の分析をやり直し結果をまとめ、考察を行う、と研究にとっては当たり前の活動を、中間先生の指導のもとできたことそのものに大変満足をしています。また、考察を行ったことで、日ごろ学生教育を行う教育者にとっての大切なものが見え、早速学生教育に生かせそうな内容であることに気づかせてもらえたことが本当に良かったです。

【後輩のみんなへ】

「これが明らかになったら、どういう良いことがあるのか」、この柱をしっかり持つことがとても大事です。そして、同じように問題意識を持って研究されている先行研究をたくさん読み、明らかになっていることとまだ明らかになっていないことを、時間がかかってでもしっかりまとめ、研究の土台となる部分をしっかり固めていくことをお勧めしたいと思います。ゼミの中で、中間先生や他のゼミ生にも意見を聞いてもらい、意見してもらうこと、これが一番必要なことだと思います。「うまく説明できてこそ、理解されていくんだなあ」と常々感じていましたので、ゼミの時間を有意義に過ごしていただきたいと思います。
  楽しいこともしんどいこともいっぱいあると思いますが、大学院に来てよかった!と思えるような2年間をお過ごしください!


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