修論執筆を振り返って
森本大吾(2018年3月)
修士論文タイトル 身近な他者との会話と高校生の進路成熟との関係
―教育・職業・人生3側面についての検討―

【どうしてこれに着目したのか】

 高校の教員という仕事は、高校生という生身の人間相手の仕事ですので、教育全般、とりわけ教育心理学をじっくり学ぶことによって仕事に活かしていきたいと以前から考えていました。中でも、高校生にとって大きな課題である進路、具体的には「進路成熟」について詳しく研究したいと大学院で学ぶうちに考えるようになりました。一度きりの人生において、自分自身の進路とじっくり向き合い、人生を構築していくための準備をすることや、そうした課題に取り組む姿勢を身につけていくこと、つまり「進路成熟」を促進していくことは、高校生にとって重要な課題だと考えたからです。
 そして、当初は進路相談や進路面談に特化した研究を考えたりもしましたが、長い格闘の末、進路指導・キャリア教育を実践している学校だけでなく、生徒一人ひとりの進路発達や進路成熟をしっかり支援していくための大きな支援者となる、高校生の周りにいる他者、その中でも身近な他者との会話やコミュニケーション、またその内容や話題に注目するようになりました。そして、身近な他者(研究では特に父親、母親、友人、教員を対象にした)との普段の会話や進路に関する話の会話と、高校生の進路成熟の関係について、男女別に明らかにすることを目指して研究を進めていくことになりました。

【苦労したこと】

 まず、研究の目的を定めて、その目的を果たすためにどのような調査を行うべきなのか、その質問項目等を考えて決めていくという過程が大変でした。苦しい時期が長く続きましたが、後から考えるとやはり、この過程を粘り強く乗り越えたからこそ何とか自分なりに納得のいく研究になったのだと思います。
 さらに、調査を終えてからもデータ解析には四苦八苦しました。中間先生に教えていただきながら何とかデータ解析、そして分析や考察を深めていくことができました。また、先行文献や多くの方の研究論文にはたくさんのヒントがあり、何度となく助けられました。

【執筆して自分なりに満足していること】

身近な他者とよく話をすることと進路成熟(とりわけ人生進路成熟)との間には高い正の相関があることや、特に親子の会話が進路へのレディネスを高めていること、つまり、身近な他者と話をすることが高校生の進路へ取り組む姿勢や準備性を高めていることを明らかにすることができたことは私にとって大きな喜びでした。得られた成果や様々な学びを今後の実践に活かしていきたいと考えています。

【後輩へのメッセージ】

 やはりまず、修士論文という大学院生の前に立ちはだかる最大の壁に真正面から挑んで、粘り強く乗り越え、是非ご自身が納得のいくものを完成させていただきたいと思います。そのために、中間先生のご指導やご助言と先達たちの各種論文が大きな力になってくれます。
 次に、大学院の様々な講義を可能な範囲で受講されることをおすすめします。何時間かの研修などとは違って、これほど専門性の高い講義を受講できる機会はなかなか得られません。私自身、非常にありがたい貴重な機会になりました。
 また、附属図書館には教育全般に関するあらゆる書籍が豊富にありますし、キャリアセンターにも貴重なDVDや書籍があります。是非ご活用ください。
 そして何より、中間ゼミの皆さんをはじめ、全国から集まって来られた小学校・中学校・高校など様々な校種の現職教員の方々や、教育についてもっともっと学びたいという大学院生・大学生の皆さんとの一期一会を大切にして、充実した兵教生活を過ごしていただきたいと思っています。陰ながら応援しています!


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