修論執筆を振り返って
前田 真弥 (2020年3月末)
修士論文タイトル 外国人留学生の就職決定への過程
― TEA を用いたライフストーリの分析から―

【どうしてこれに着目したのか】

 私は外国人留学生に日本語を教える日本語教師という仕事をしており、 進学や就職を目指す学生と日々関わっています。その中にはやる気と目標をもって取り組んでいる学生もいれば、 バイトに明け暮れて授業中は寝るなど、何をしに来ているのかわからない学生も少なからずいます。 いつしか「Youは何しに日本へ?」と考えるのが習慣になっていました。 ただ、その疑問をそのまま修論のテーマにすることはできませんし、もっと自分の問題意識を明確化する必要があります。 最初は語学が上手になる人はどんな人だろう?というようなところに興味をもち文献を読み進めていったと思います。 その後、外国人留学生の中には日本で就職を希望する学生が多いにも関わらず、就職率が低いということが先行研究、 また私が勤務している学校の学生とのかかわりから分かってきました。 このとき、日本で就職したいと思って活動している学生の中でうまくいった人といかなかった人の違いは何か、 目標達成までの過程を明らかにしたいと考えるようになりそれが修論テーマへと繋がっていきました。 過程やプロセスを扱うということで、質的研究法の中に“TEM”という方法があることを先生から教えていただき、これを使うことにしました。

【修士論文生活を振り返って】

テーマと研究法が薄ぼんやりと定まり始めたのがM2の夏〜秋ごろだったと思います(夜間3年の長期履修生)。 M2の後半は“TEM”“TEA”という研究法のことを深く知りたかったので、 この分野のパイオニアである先生の主催する研究会に行き研究法を勉強しました。 M2の時はこれを含め、時間があれば興味のある学会や研究会などに出向きました。 そこでの情報収集や情報交換も有意義だったと今になって思います。 また調査をする場合に欠かせないのが、研究協力者です。私は4名の元留学生の方に3回ずつお話を聞きました。 来日から就職に至るまでかなり突っ込んだことを聞かせていただくので、それを事前にお伝えしたり、個人が特定されないように表記を工夫すること、 録音することなどを了承していただいてから進めました。協力者の方としっかり関係性を築くことも研究を進めるうえで大切だと思います。 インタビューはM2の2月からM3の秋にかけて行いました。インタビューデータを文字に起こすのに一番骨が折れました。 そこから分析→図の作成→再インタビューという流れでした。 4人目の協力者の方の最後のインタビューが11月になってしまい最終的にバタバタしたので、 最低でも1か月は前倒しで進めるべきだったと反省しています。論文の序章は10月末から着手しました。 構成や論考の進め方は中間先生にたくさん教えていただきました。 自分の詰めの甘さを反省する日々でしたがとても密の濃い時間を過ごせたので楽しかったです。

【執筆を終えて自分なりに満足していること】

今までぼんやりと考えていたことや疑問に思っていたことを、 道筋を立てて明確化し論文にするという方法を学べたので良かったです。 これからも生かしていきたいです。

【後輩へのメッセージ】

特に夜間の長期履修生の方へのメッセージになります。夜間は仕事をしながら大学院に通われている方が多いと思います。 最後の3か月は、物理的に1日のうち何時間修論に割けるのか。 一週間単位で見るとどうか。提出日からある程度逆算してやらないと最後に慌てます。 提出日直近の週は、仕事を減らすのが理想的です。 同僚に協力をお願いするなど(職場や職種によっては難しいかもしれませんが)前もって根回しをしておくことをおすすめします。 また当たり前かもしれませんが、健康第一です。睡眠と栄養のある食事をとることが大事だと思います。


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