【どうしてこのテーマを設定したのか】

　私は最初にエリクソンの「アイデンティティとライフサイクル」を読んで、エリクソンが言っていることが好きだった。それを機会にアイデンティティを研究しようと思った。しかし、アイデンティティの何について研究することがわからなかった。私は内容を読むことにとどまった。どのように問題を発見し、問いを立てることがわからなかった。そのために、とある論文ではアイデンティティにおいて重要な他者は母親であり、父親はさほど重要ではないという結果に対して、私は試しに「では、どうして父親が重要ではないのか」という問題を解決しようとした。その時から父親に関する本を読み、父親とは、父親の役割について、問題設定を試みたが、しかし、どんな問題が修士論文になるのかわからなかった。そのあとも問題を定めることができず、父親から家族、家族から結婚、結婚からデートDV、デートDVから恋愛依存など、締め切りに近づくまで決めれなかった。その時にもう他のテーマに変えずに必ず恋愛依存にしようと決めた。 　
しかし、今振り替えてみると、私は修論のテーマにしようとする問題設定の後ろにある「興味」は自己満足を得るためのものしかなかったかもしれない。例えば、「アイデンティティ」という言葉の文献を読み、「アイデンティティとは」をちょっと知っただけでその好奇心が満たされ、あるいはアイデンティティについて調べた自分に満足し、好奇心が他の言葉に移してしまう。 　
先生はいつも私に自分自身を研究テーマにしないほうがいいと助言してくれたが、私もそうしたと思ったが、今思ったら、私はその適当な好奇心を問題設定にしようとしたこと自体が、自分自身を研究テーマにしようとしているかもしれない。今思えば、「どうして父親が重要ではないのか」という問題をアイデンティティとつねに関連しながら考え続ければよいだが、その時の私は父親の文献を読んでから、「父親の存在意義」という自分自身に関連があることにばっかり注目し、完全にアイデンティティのことを全く意識していなかった。

【苦労したこと】

　多くのことに苦労したが、問題設定に一番苦労していた。「興味があるテーマ」に過剰な自己を持ち込んでいたことで、テーマ設定はアイデンティティの探究みたいなものになっていた。 　
先生の言葉を正しく捉えることに苦労した。自分の考えが強すぎて、先生が話してくださった内容を正確に捉えることが何回もできなかった。

【満足していること】

　最後の最後に、苦しんでも、頑張って泣かないようにしたこと。自分の弱さを認め、自己満足ではなく問題解決に取り組もうとしたこと。最後まであきらめていなかったこと。修論の場では弱音を吐かないように頑張ったこと。 　
Spssを使って、自分で2要因分散分析をやってみたこと。 　
修論作成のときに徐々に増えている左下のページ数を見たら達成感を感じた。 　
そして、メンタルが鍛えられたこと。 　
二年前の自分より、はるかに成長した気がした。それは主に「第三者の立場から自分自身を見ること」において一番感じている。それは修士論文の作成の中で、常に自分自身を疑い続けていたことのおかげである。

【後輩へのメッセージ】

　なぜかわからないが、中間先生は怖い、大魔王だという噂が教育コミュニケーションコースだけではなく、兵庫教育大学の修士、博士課程のあらゆるところで広がっている。もしかして皆さんも聞いたことがあるかもしれない。しかし、それは一つの考え方ひとつの視点に過ぎないと私は主張したい。なぜなら私は「中間先生はとてもとてもやさしく、私たちのことを真剣に考えてくれて、私たちの思いと真剣に向き合ってくれる、よりよい修士論文および私たち成長のために共に悩み考えてくれる先生です」と思っている。そして皆さんは次に中間先生のそういう噂を耳にしたときに、その人たちに謝(2023)の言葉を使って、違う視点を提供しながら反論してください。